安藤ハザマは、現場で使用する足場に関連する業務の効率化を推進している。2019年12月19日、タカミヤとともに外壁断熱パネルの施工で、効率的に作業を進められる移動昇降式足場用の壁つなぎを共同開発したことを発表した。作業時間の短縮や省人化に貢献する技術として、業界で関心を集めている。
安藤ハザマとタカミヤは2019年12月19日、物流倉庫などに用いられる外壁断熱パネルの施工で、効率的に作業を進められる移動昇降式足場用の壁つなぎを共同開発したことを公表した。加えて、この壁つなぎを現場に適用し、一般的な全面外部足場に比べて、足場の組み立てや解体、足場上での外壁施工の生産性が大幅に向上することを実証したという。
単一の縦目地から支点をとれる
近年、建設業界では、入職者数の減少や技能者の高齢化に伴う退職で、人手不足が加速しており、生産性の向上が目下の課題となっている。足場の設置やこれを使用した作業も省人化と効率化が求められている。こういったニーズに応える製品として、業界で期待されているのが移動昇降式足場だという。
移動昇降式足場は、全面外部足場と比較して、短期間での設置に応じており、これまでマンションや橋脚の改修工事および、煙突の解体工事などのタワー上の構造物を中心に適用されてきた。一方、新築工事では、施工サイクルの短いプレキャスト壁や仕上げパネルの外壁施工に利用されている。
このように活用されている移動昇降式足場だが、外壁断熱パネルの壁つなぎには課題があったという。従来の外壁断熱パネルの壁つなぎは、パネルをまたぐ縦目地(めじ)間に、長尺角パイプなどの横架(おうか)材を水平に配置し、そこから支柱(マスト)を支える型式を採用しているため、壁つなぎ周辺の施工性に難があった。
今回開発した壁つなぎは、こういった弱点を克服している。この壁つなぎは、支柱1本に対して単一の縦目地から支点をとれるため、従来に比べて外壁と足場の間にある部材が少なくなり、壁つなぎ周辺における外壁施工の作業性が改善されている。
現場に適用した結果、移動昇降式足場を使った作業で、1人当たりの施工数量が、一般的な全面外部足場のものと比べ、足場の組み立て作業で4割以上、パネル貼り作業で3割向上を実現したという。また、支柱間の距離を最大にした場合、昇降足場に関わるワークフロー全体に要する作業量を約2割低減することも明らかになっている。さらに、足場の組み立て作業時における高所作業の低減や台風養生の容易さなど安全面に貢献する利点もあるという。
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