新型コロナウイルス感染症が全国的に再び拡大しています。4月に感染が拡大したときは「マスクの着用」「人との接触機会の減少」などとともに「ソーシャルディスタンス(社会的距離)を保つこと」も盛んに叫ばれましたが、今回の感染拡大では、「ソーシャルディスタンス」という言葉をほとんど聞きません。街中でも、大多数の人がマスクをつけていますが、常に「ソーシャルディスタンス」を意識して行動している人はそれほど多くないようです。 マスクを着用し、かつ、会話をしなければ、そこまで「ソーシャルディスタンス」を意識しなくても大丈夫なのでしょうか。医療ジャーナリストの森まどかさんに聞きました。
通勤ラッシュなどの要因も影響?
Q.4月に感染が拡大したときは「ソーシャルディスタンス」の必要性が盛んに叫ばれました。「ソーシャルディスタンス」の認知は進みましたが、その実践がそれほど浸透しているようには思えません。なぜ、今回の感染拡大期は「ソーシャルディスタンス」があまり叫ばれないのでしょうか。 森さん「国が呼びかける『新しい生活様式』でも、人と人との物理的な距離を、可能であれば2メートル、最低でも1メートルを空ける『身体的距離の確保』は『マスクの着用』『手洗い』とともに『感染防止の3つの基本』として最初に掲げられました。つまり、『ソーシャルディスタンス』が引き続き重要な予防策であることには変わりありません。 しかし、日本では、密集、密閉、密接の『3密』という言葉が一般的になり、『3密』を避けることが人との距離を取ることにもつながるため、『ソーシャルディスタンス』という言葉で注意喚起をする機会が少なくなったと考えられます。 日本での『ソーシャルディスタンス』の実践は手洗いやマスク着用と比較すると、生活習慣として根付くほどには徹底されていないように見受けられます。なじみがないため、行動変容に時間を要していることも原因として考えられますし、通勤ラッシュや満員電車、施設の面積など、人が距離を確保することが難しい状況が多々あることも、日本ならではの理由だと考えます」 Q.街中では、ほとんどの人がマスクをつけています。マスクを着用し、かつ、会話をしなければ、そこまで「ソーシャルディスタンス」を意識しなくても、感染の可能性は低いのでしょうか。 森さん「マスクの着用によって感染の可能性は低くなります。一般的なマスク着用の効果は科学的根拠が乏しいとされてきましたが、最近はさまざまな実験や研究が行われ、『マスク着用によって感染が広がらなかった』という報告がされています。 咳(せき)やくしゃみだけでなく、会話でも飛沫(ひまつ)が飛ぶことが明らかですが、マスクによってその飛散を抑えられるという実験結果も著名な医学誌に掲載されました。周囲に“感染させない”という点で、マスクは大きな役割を果たしているといえます。 また、発症前の無症状の時期に、あるいは無症状のまま経過する人から、周囲の人たちへ感染させるという報告が多いことから、街中で症状がある人もない人もほとんどの人がマスクをしている現在の状況は、感染拡大防止の効果につながると考えられています。 一方、『ソーシャルディスタンス』はこうしたマスクの効果と同程度と考えられていますが、『ソーシャルディスタンス』のみの対策では不十分だったという米国の分析報告もあります。マスク着用も『ソーシャルディスタンス』も感染を完全に防げるわけではないですし、まだ効果の検証が十分とはいえません。 より確実に感染を防ぐという点においては、マスクを着用していても『ソーシャルディスタンス』をできるだけ意識することが求められています」 Q.日本の都市部、特に東京は人口密度が高いので、厳密に「ソーシャルディスタンス」を守って外出しようとすると、かなり気疲れすると思います。東京のような場所で「ソーシャルディスタンス」を守るのは、「可能な範囲」にならざるを得ないのでしょうか。 森さん「あまり神経質になっても、精神的な負担が大きくなりますから、ケース・バイ・ケースで判断することが大切だと思います。特に、人が集中する都市部では、駅のホームや電車内など一定の距離を確保できない場面が多々あります。そのような場合は『可能な範囲』の距離を確保し、マスクの着用だけでよいと思います。 また、『ソーシャルディスタンス』を確保できない場合に気を付けたいのは、会話や発声による飛沫です。外出先が大声の飛び交うような場所だったり、歌ったりする場所であれば、そこでは『ソーシャルディスタンス』を徹底することが重要です」 Q.今後、日本において、「ソーシャルディスタンス」の実践はどのようになると思われますか。 森さん「『ウィズコロナ』という社会に合わせて、一律に『ソーシャルディスタンス』を求める対策も変化が必要と思います。例えば、お店のレジやテレビのスタジオなど、人との接し方を変えることで実践できる部分と、イベントや劇場、飲食店など『ソーシャルディスタンス』の実践によって直接的に収益に影響する部分とで、考え方が変わってくるのではないでしょうか。 経済的な影響を受けずに続けられるのであれば、新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザや風邪などの感染予防という点からも、『ソーシャルディスタンス』は習慣にしていく工夫と努力が必要だと考えます。 一方、経済的な影響を受けるイベントや劇場、飲食店などにおいては、『ソーシャルディスタンス』を確保するための人数制限によって事業の持続が難しくなることも事実です。会話や発声があるかどうか、マスク着用ができるかどうか、人の配置や向きがどのようになっているかなど、施設やイベントの特性から、『ソーシャルディスタンス』を外すことが可能かどうかをしっかり検討し、試行錯誤する段階ではないかと思います」 Q.私たちは再度、「ソーシャルディスタンス」の意味や意義を認識して、意識的に実践するようにしないといけないのでしょうか。 森さん「繰り返しになりますが、『ソーシャルディスタンス』が引き続き重要な感染拡大防止策であることに変わりはありません。特に、暑い夏は熱中症予防のために屋外でのマスク着用に注意が必要であり、そのときに重要なのが人と人との距離を空ける『ソーシャルディスタンス』です。物理的な距離が離れていることにより、接触感染の機会も飛沫感染の機会も少なくなることは明らかだということを再認識し、日々の行動に取り入れることを心掛けたいですね」
オトナンサー編集部
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August 16, 2020 at 06:10AM
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