住宅・建物を建設するときに大切な要素となるのが「地盤調査」です。どんなに耐震性の高い家をつくったとしても、地盤調査がおろそかだと、家の傾きや地盤沈下などの大きなトラブルが生じる可能性があります。ここでは「地盤調査とは何か」について紹介します。
「地盤調査」とは？
「地盤調査」には、地域地区を対象とした「地質学的調査」と、住宅・建物をつくるときに行われる「土質工学的調査」があります。
「地質学的調査」は、地域地区の土地や地盤がどのような生成過程を経てつくられてきたのかを調べることです。調査により、「河川による堆積」「火山噴火による堆積」など、土の堆積環境を見極めます。
「土質工学的調査」は、土の物理的性質や力学的性質を調べることで、家づくりをするうえで必要不可欠な調査です。
土地購入のための地盤調査と家づくりのための地盤調査
一般の方が地盤調査（地盤調査結果）の必要性を感じる機会となるのが、「土地の購入を検討するとき」と「家づくりを検討するとき」ではないでしょうか。
地盤調査を土地購入の検討材料とする場合は、該当する土地を含む地域地区の地盤調査結果を、「土地所在地の行政機関（各県庁、区役所など）」もしくは「各地盤調査会社が無料開示している資料（ホームページ）」で調べ、内容を把握し活用することになります。
一方、家づくりのために必要となる地盤調査は、家づくり（設計）を依頼した建築士や施工会社が、新規地盤調査が必要かどうかを判断します。地盤調査が必要と判断されたときには、建築士や施工会社が地盤調査会社を選定・手配し、調査依頼をする形が一般的です。
家づくりにおける地盤調査の目的
家づくりを検討・実施するうえで行われる地盤調査には、大きく分けて7つの調査目的があります。
すべての調査が必要となるわけではなく、住宅計画（設計）を担当する建築士（施工会社に所属している建築士を含む）が「土地状況」「地盤関連資料の有無」「設計内容」などを総合的に考えたうえで、「何を目的とした調査が必要か」を判断することになります。
- 地盤構成の把握
当該土地が、どのような地盤構成でつくりあげられているのかを把握する調査が行われます。「人為的につくられた土地（切土・盛土・埋立地など）」なのか、「自然形成の土地」なのかなどを調べます。 - 地盤強度の把握
地盤全体を対象として「強度」の高低を調べます。岩盤のような強度の高い地盤なのか、泥炭地などの強度の低い地盤なのかなどを把握することが目的です。 - 地盤支持力の把握
家づくり（住宅設計）をするうえで最も大切な要素となるのが、地盤支持力の把握です。一般的にはあまり知られていませんが、地盤の「強度」と「支持力」はそれぞれ別の指標となります。強度は低くても支持力が高い地盤などが存在するのです。
地盤の支持力は住宅の基礎設計に直接影響を与える要素となるので、家づくりにおいて必要不可欠な情報といえます。 - 土質の把握
「土質」は地盤の強度・支持力などに影響を与える要素です。同じ組成の土であっても、粒子の大きさ・混ざり具合や、土粒子の締まり具合などによって「土質」が異なります。 - 土層の把握
「土層」とは「地層」と考えてよいでしょう。どのような種類の土・砂・岩盤などが、どんな形で層を形成しているのかを調査します。地盤の強度や支持力、変形の有無、揺れやすさなどを見極める一要素です。 - 地下水位の把握
住宅設計を行ううえで把握しておく必要があるのが「地下水位」です。地下水位が高いか低いかによって、住宅耐震性などに大きな違いが生じることになります。一般的な一戸建て住宅の場合、軽視され、設計に反映されないケースもあるので要注意です。 - 液状化判定
「地下水位」「土質」「土層」など、複数の情報を重ね合わせることで見極めるのが「液状化判定（調査）」です。地震の揺れによって地盤が液状化しやすいかどうかを判定します。
地盤調査方法は予算や目的に合わせて選択する
地盤調査の7つの目的を紹介しましたが、すべての目的を達成できる調査方法はありません。実際には、調査目的の種類や内容に応じて、最適と思われる地盤調査方法を選択します。
さまざまな調査方法がありますが、現在一般的に行われている地盤調査方法として、以下の7種類があります。
- スウェーデン式サウンディング試験
- ボーリング標準貫入試験
- ハンドオーガーボーリング
- 平板載荷試験
- オートマチック・ラム・サウンディング試験
- ポータブルコーン貫入試験
- レイリー波探査
それぞれメリット・デメリットがあり、調査費用も大きく異なります。建築士や施工会社の説明をよく聞き、目的や予算に合わせた方法を選択するとよいでしょう。
疑問点はしっかり解消して地盤調査を実施しよう
家づくりを行ううえで「地盤調査の必要性」「地盤調査内容」「地盤調査会社」は、住宅設計を依頼した建築士や施工会社が検討して実施します。
地盤調査が必要となったときには、建築士などから説明や相談がありますが、最終的には家づくりの依頼者が判断をすることになります。少しでも疑問があるときには、建築士などにしっかり質問し、疑問を解消したうえで地盤調査を行うことをおすすめします。
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May 24, 2020 at 10:00PM
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