熊本県内を走る熊本電気鉄道（熊本電鉄、熊本市中央区）の６０００形車両で「くまモン電車」として親しまれたラッピング電車が、老朽化のため１１月２７日の運行を最後に引退することになった。都営地下鉄時代から半世紀近く東京と熊本を駆けてきた車両で、鉄道愛好家らから引退を惜しむ声が出そうだ。【山本泰久】
車両は日立製作所製の「６２２１ｅｆ・６２２８Ａ」（２両編成）。１９７２年に製造されてから東京都交通局が都営地下鉄三田線で運行し、２０００年に熊本電鉄が両端の先頭車２両を約７０００万円で譲り受けた。１４年３月から熊本県のＰＲキャラクター「くまモン」を車両の先頭や扉、車内などにあしらい、通算５０年近く走り続けた。
現在、熊本電鉄で運行する「くまモン電車」は３編成あり、引退車両はその初代にあたる。１６年の熊本地震では駅のホームや線路が被災したが、発生から１週間で運転を再開。近年はくまモン電車を目当てにしたインバウンド（訪日外国人）も多く、月５０００人以上が乗車したこともあった。引退後、車両は解体されるという。
熊本電鉄は、引退までにさまざまなイベントを企画している。１日に引退前の最後となるくまモン電車運転体験の希望者８人を募集したところ、受け付け開始４分で完売する人気ぶりだった。１１月２２日には、熊本市の北熊本車庫内で撮影会や記念グッズの販売などが予定されている。
熊本電鉄の一戸文彰・企画営業課長は「くまモン電車が定期点検で走らないと、『なぜ走らないのか』と乗客からお叱りを受けたこともあった。最近は新型コロナウイルスの影響で海外からの観光客がめっきり減ったことが残念」と寂しそうに話した。問い合わせは熊本電鉄企画営業課（０９６・３４３・３８３８）。
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October 03, 2020 at 10:14AM
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