いつも乗っている鉄道車両。気づいたら車種が変わっていた、なんてこともありますが、一体何年くらいで置き換わっているのでしょう。そして役目を終えた車両はどこへ? 今回は車両の生涯と寿命について解説します。
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ここでは鉄道に関するちょっとした豆知識をお伝えすることで、何となく知識が増えたなとか、みんなが知らないことが自慢できたりとか、まあそんなことを目指してお届けしていく、テツの与太話です(作倉瑞歩)
まず鉄道車両の使用期間について。鉄道車両は会社の資産ですから現在の税制では減価償却の対象になります。電車の減価償却期間は13年。ただし、13年たったら廃車して新しく作るかというと、そうではありません。高価なものですから、耐久性が悪くなった部品を取り換えつつ、長く使うケースがほとんどです。
鉄道車両の減価償却期間
- 電気または蒸気機関車:18年
- 電車:13年
- 内燃動車(制御車および附随車を含む):11年
- 貨車:高圧ボンベ車および高圧タンク車:10年
薬品タンク車および冷凍車:12年
その他のタンク車および特殊構造車:15年
その他のもの:20年
- 線路建設保守用工作車:10年
- 鋼索鉄道用車両(ケーブルカー):15年
- 無軌条電車(トロリーバス):8年
もちろん鉄道車両には技術革新もありますし、耐久性の限界もありますので、いつまでも古い車両を使い続けるわけにもいきません。いずれ新しい車両を導入することになりますが、その期間は時代によって変化してきました。
コスト半分、重量半分、寿命半分
初期の鉄道車両は木製でしたが、火災に弱いため鋼製へ。そして軽くて強度のあるステンレス製へと変わっていきました。鋼製の車両は丈夫なので40〜50年も使い続けることができますが、重いために電力を多く使うため、軽いステンレス製の車両よりも省エネ性はよくありません。そこでJRが発足した1987年に「コスト半分、重量半分、寿命半分」という考えが導入されました。
コスト半分は、製造原価をそれまでの車両に比べて半分にしようというもの。重量についても、省エネ性を上げるために半分を目指しました。そして、この2つを達成するため、車両の耐久性を落とし、それまでの半分の期間で交換しても良いとしました。短期間で更新すれば新しい技術を取り入れて車両を作れますし、より省エネ性の高い車両を導入することも可能になるからです。
この考えは、JR東日本のドル箱路線である山手線を見るとよく分かります。鋼製の103系は1963年から1988年まで25年間走りましたが、ステンレス製の205系は1985年から2005年までと20年間に。続いて同じくステンレス製のE231系は2002年から2020年まで18年間使われ、現在は軽量ステンレス製のE235系へと置き換わっています。E235系は2015年から走っていますが、車内に液晶画面のデジタルサイネージを導入するなど、内装もずいぶんと変わりました。
鉄道車両の第二の人生
使われなくなった車両のほとんどはスクラップとして処理されてしまいますが、中には「まだ使える」と判断され、国内にあるほかの鉄道事業者へ譲渡されるケースも多いです。例えば都営地下鉄を走っていた6000系は秩父鉄道で走っていますし、日比谷線の3000系は長野電鉄で走っていました。銚子電鉄を走る3000系は、京王電鉄から伊予鉄道に渡された後、銚子にやってきたという、複数の鉄道事業者を巡ったケースです。
これと同じように、海外に輸出されて使われることがあります。JRを走っていた24系などの寝台車や12系客車のほか、武蔵野線を走っていた205系電車、東京メトロ千代田線の6000系などなど、数多くの車両が海を渡っています。
そんな車両の中には、役割を終え、保存のために日本に里帰りするものもあります。最近でいうと、アルゼンチンの地下鉄で走っていた丸ノ内線500系がそうです。現地で使われていた500系のうち4両が、2017年に日本へ帰ってきました。現地に渡ると塗装なども変えられてしまうケースがほとんどなので、外装をはがして昔の色に塗り直しました。また動かすための部品も老朽化しているので、交換するなどして復活させています。
この車両については、再塗装のお披露目会で「イベントなどで走らせる可能性もある」としていましたが、現在まで走っていません。いつの日か走った際には、乗ってみたいと思っています。
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