使用環境によるものの、実はとても長持ちする鉄道車両
鉄道車両の寿命は会社の方針や使用環境によって長短はありますが、新幹線で13年から20年、在来線で30年から40年が経過すると、新しい車両に取り換える検討がなされます。
車両を取り換える理由としては、「会社の方針の変更で車両の用途がなくなるケース」「機器が老朽化したが、交換部品も製造中止となっているケース」「スピードアップや施設の改良などで、車両の仕様がダイヤに合わなくなるケース」などが考えられます。逆に、こうした「廃車になる理由」がなければ、鉄道車両はいつまでも修理して使えるともいえるでしょう。
今回は大手私鉄とJRの通勤形電車のなかから、2020年4月現在も現役である長寿車両5車種をピックアップしました。選定の基準は、「デビュー当初から同じ形式、車両番号を有しているもの」「車体の載せ換えが行われておらず、オリジナルの雰囲気を保っているもの」「動態保存などではなく、旅客を乗せ定期運用が行われているもの」です。
ここで選んだ車両はいずれも40年を超えて使われている長寿の車両ですが、どの車両も入念に整備され、安全に運用できるよう不断の努力が注ぎ込まれていることはいうまでもありません。
東京メトロ7000系(1974年製造)
東京メトロ7000系は、営団地下鉄(当時)有楽町線が開業した1974(昭和49)年に登場しました。開業当初は5両編成でしたが、現在は10両編成です。
現在も、最初に造られた「トップナンバー」と呼称される7101編成が現役で運用されていますが、足回りや内装は近代化され、外装も副都心線開業にあわせて改良されています。しかし、座席の幅は設計当初の430mmのままで、後継の10000系に比べるとやや狭い点が「時代」を感じさせるところです。
東京メトロは7000系の置き換え用として、すでに17000系を製造しているため、7000系の活躍が見られるのもあとわずかです。
東急電鉄8500系(1975年製造)
東急8500系は、東急新玉川線(現・田園都市線)開業にあわせて1975(昭和50)年に製造された車両です。直通先である地下鉄線内での高加速性能と田園都市線内での高速性能をあわせ持った車両で、現在は東京メトロ半蔵門線を経由し、東武線の久喜駅や南栗橋駅まで、90km以上に及ぶ長距離運用もこなしています。
ステンレス製の軽量ボディは腐食にも強く、引退後も多くの車両が地方の私鉄に再就職しているほどの頑丈さを誇ります。
現在も、開業初期に製造された8506編成が田園都市線を走っていますが、新型車両2020系の製造で徐々に数を減らしています。
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