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韓国の新興宗教、新型コロナが浮き彫りにした闇の側面とは? - Newsweekjapan

<なぜ韓国には、風変りな教義と熱狂的な信者、秘密主義的な信仰を持つキリスト教系の新興宗教が珍しくないのか。「新天地イエス教会」の集団感染を機に、韓国流の信仰の在り方が問われている>

韓国で新型コロナウイルス流行の中心になったのが「新天地イエス教会」という新興宗教団体だったとのニュースは、世界で驚きをもって受け止められた。

しかし、韓国の社会史や宗教史に詳しい人たちは驚いていない。韓国には、風変わりな教義と熱狂的な信者、秘密主義的な信仰を持つキリスト教系の新興宗教団体が珍しくないのだ。

最も有名なのは、メシア(救世主)を自称する文鮮明(ムン・ソンミョン)がつくった旧統一教会(現在は世界平和統一家庭連合に改称)だろう。世界全体の信者数は300万人とも言われる。スタジアムを信者で埋め尽くして行う合同結婚式で有名だ(文は2012年に死去)。

終末論を説く申玉珠(シン・オクジュ)が創設した「グレースロード教会」は、大飢饉を逃れるためと称して南太平洋のフィジーに信者たちと移住した。しかし、申は信者への暴行や監禁、児童虐待などで逮捕され、禁錮6年の刑を言い渡された。

新興宗教団体の影響力は、権力の中枢にも及んでいる。キリスト教に仏教と韓国の伝統的なシャーマニズムを融合させた新興宗教団体をつくった崔太敏(チェ・テミン)は、長年にわたって朴槿恵(パク・クネ)前大統領の相談役的な存在だった(崔は1994年に死去)。朴政権の影の権力者とされ、その地位を利用して私腹を肥やしたと問題になった崔順実(チェ・スンシル)は、太敏の娘だ。

韓国のキリスト教は、アメリカで一般的なプロテスタントの影響が強い。韓国にキリスト教が根付く上では、アメリカの長老派の宣教師たちが果たした役割が大きかった。

世論の怒りは収まらない

やがて、主流派のキリスト教会とは異なる教義を持つ新興宗教団体が続々と登場し始める。それは、アメリカで超保守派のキリスト教団体が勢力を広げているのとどこか似たところがある。

シャーマニズムの影響も無視できない。韓国では、キリスト教主流派の教会でも信者がトランス状態になることが珍しくない。そうした熱烈な信仰は、この国にキリスト教が伝わる前から存在する信仰と切り離せない関係がある。

今も多くの韓国人は何らかのシャーマニズムを信じていて、教育水準の高い財界人までもが「悪魔ばらい」のようなことをシャーマンに依頼したりする。こうした古い信仰がキリスト教と融合することにより、熱狂的な新興宗教団体が生まれているのだ。

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March 09, 2020 at 06:30PM
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