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IPOの意義を再考 - 日本経済新聞

2019年のIPO(新規株式上場)は前年並みの86件で、引き続き好調だった。一方で「上場ゴール」という言葉があるように、IPO自体が目的になってしまう企業も一部に出てきている。改めてIPOの意義を考えたい。

テクノロジー分野のスタートアップに数多く投資し、社外役員として経営を支援。支援先には、アイスタイルやナナピ、メルカリなどがある。東京大学経済学部、ハーバード大学MBA卒。

テクノロジー分野のスタートアップに数多く投資し、社外役員として経営を支援。支援先には、アイスタイルやナナピ、メルカリなどがある。東京大学経済学部、ハーバード大学MBA卒。

一般にIPOには主に3つの意義がある。最も本質的で重要なのが「資金調達」だ。未上場の間は自ら探してきた投資家に株を割り当て、その対価として資金を得る第三者割当増資による調達がほとんどだ。上場以降は業務提携などの特殊なケースを除き、市場で広く投資家を募る公募増資が多くなる。公募増資は投資家を募るため、またはその投資家が株式を売れるようにするため、株式市場に上場していて売買されている流動性が必須となる。上場で資金調達の規模と柔軟性が大きく向上するのだ。

2つ目は「信用の補完」だ。金融的な信用、すなわち借り入れや取引をしやすくすることはどの企業でも大切だ。特にスタートアップにとっては社会的信用の補完が重要となる。

スタートアップの世界では「親ブロック」や「嫁ブロック」と呼ばれる現象も起きている。スタートアップへの就職を考える際、身近な人に反対されてしまう問題だ。IPOすると一般的な認知度が高まり、金融的な信用の向上と相まって社会的な信用が上がる。

最後に、未上場時に資金を投じた創業者も含めた株主の利益を確定する「エグジット」がある。IPOの目的でエグジットに力点が置かれすぎると「上場ゴール」になってしまうが、未上場のリスクが高いスタートアップに資金を呼び込むためには必要となる。

昨今のスタートアップを取り巻く環境の進化はIPOの意義にも変化をもたらしている。メルカリやサンサン、フリーに代表されるように、日本のスタートアップエコシステムでも未上場のうちに100億円を超えるような資金調達が可能となってきた。

一方で、上場後は上場株の投資家の目にさらされ、短期的な業績もあげながら長期な成長を実現することが求められる。事業成長のために大きく投資して赤字を出すことは難しくなる。この結果、最近は未上場での資金調達が続く限り、上場できる規模や業績になっても未上場を長く保つのがトレンドになっている。

それに伴い未上場の投資家も大きなリターンを求め、エグジットまで長い期間を耐えるようになってきた。スタートアップそのものの一般的な認知度も上がり、大学生がスタートアップでインターンをしたり、スタートアップに就職したりすることが格好いいと思われるようになっている。

スタートアップの社会的信用も上がってきた。IPOの意義も、数百億円規模といった未上場では難しい大型調達を可能にするという資金調達のウエートが一段と大きくなるだろう。

[日経産業新聞2020年1月31日付]

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February 03, 2020 at 02:30AM
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