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中国で発生した新型ウイルスの感染状況からは、SARS発生当時とは違った「いい面」も見えてくる|WIRED.jp - WIRED.jp

中国の武漢で多発している新型ウイルスによる被害が拡大している。すでに複数の死者や国外への感染事例が確認され、ヒトからヒトへの感染拡大の可能性も指摘されている。しかし、2003年に中国で発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)のアウトブレイクと比べると、「いい面」も浮き彫りになってくる。

WIRED(US)

China

FEATURE CHINA/BARCROFT MEDIA/GETTY IMAGES

中国の中部に位置する湖北省の武漢が2019年12月中旬以降、謎の病に襲われている。20年近く前に命にかかわるウイルス性の伝染病が発生したときと同じ地域だ。症状は高熱や肺の異常、呼吸困難など肺炎に似ているが、原因の詳細は不明で、死者と多くの入院患者が出ている。

このウイルスに関して政府高官は、中国人研究者の特別チームが感染源の細菌を特定したと9日に発表している。人体でこれまで見られなかった新種のコロナウイルスが原因だという。コロナウイルスは、一般的な風邪やSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)の原因菌である。

国営メディアから1月第2週に出された報告によると、中国人主導の研究チームが細胞培養したウイルスの複製をすでに確保している。詳細の公表を求める世界的な公衆衛生コミュニティからの圧力を受け、研究チームはその週末に新しいコロナウイルスのゲノムの概要を公表し、世界各地の研究者にデータの分析・共有を促した。

このような動きは、封じ込め活動にとって重要なものだ。この情報があれば、病院はより効果的に新たな症例をテストでき、見込みのある治療法に指針を提示できる。米国の科学者はすでに、この名称未定の新たなウイルスが、感染力がさらに強いSARSを引き起こした同族のウイルスに遺伝的に最も近いことを突き止めた。

中国における「SARS」発生時からの変化

西側の一部の科学者や公衆衛生当局にとって、武漢で進展している状況には「いい面」がある。それは中国の科学インフラや公衆衛生政策が、2003年のSARS発生時から大幅に進歩していることだ。

SARSは最終的に26カ国に広がり、774人が犠牲となり、数千人が罹患した。しかし発生からの数カ月間、中国政府は疾患の流行やその結果を世界に伝えず、ウイルスの特定や封じ込めの努力を遅らせた。

やがて「SARS」と呼ばれるようになる伝染病は、2002年11月に最初の犠牲者を出した。しかし、中国の衛生部が世界保健機関(WHO)に未知の伝染病を報告したのは、翌年2月になってからである。その時点ですでに数千人が感染しており、香港や台湾、ベトナムで次々と症例が現れていた。

「2003年当時の最大の障壁は、中国が当初、状況の説明に消極的だったことです」と、米疾病予防管理センター(CDC)にかつて在籍していたウイルス学者で、SARSを引き起こしたコロナウイルスを最終的に特定した国際的な科学者チームを率いたジム・ルデュックは語る。「このため深刻さが理解される前に伝染病が強い勢いをもってしまいました」

当時の中国政府は外部の研究者の感染地帯への立ち入りを拒んだが、CDCの科学者は1つのサンプルを確保した。それはベトナムで罹患したあと、自身をタイまで緊急搬送し、病院で死亡したWHOの医師から採取した咽頭スワブ検体だった。

そのサンプルから、この謎めいた人命にかかわる細菌を、ヒト細胞のシャーレで培養する試みが開始された。細胞が死に始めたタイミング(ウイルスが複製されている兆候である)で、研究チームは電子顕微鏡とDNAマッチング技術を用い、コロナウイルスが原因であると結論づけた。

数週間後、この肺を攻撃するコロナウイルスがSARSの原因だとWHOが公式発表すると、医療的な危機におけるターニングポイントとなった。これによって分子検査に基づいて確実な診断を下せるようになったからだ。7月までに中国政府は、既知の症例をすべて解決した。

公衆衛生や透明性が向上

今回がSARSと異なる点は、テクノロジーの向上と方針の違いにあると、ルデュックは言う。今回の場合、最初の症例は12月12日に武漢で報告され、数週間後に地元の衛生当局が警告を発した。「中国の公衆衛生や透明性に対する取り組みや、最新の科学を確実に用いるという姿勢がまさしく好意的に反映されています」

中国では2017年、国内初となるバイオセーフティレヴェル4の研究所が武漢に開設された。この研究所の多くの科学者が、テキサスでルデュックとともに訓練を積んでいる。彼はいま、ガルヴェストン国立研究所(米国に2カ所ある最高レヴェルの生物学的封じ込め施設のうちのひとつ)の所長を務めている。「どれもSARS発生時には中国国内では手に入らないものでした」とルデュックは言う。

新たに公表された遺伝的データから今回の発生源が明らかになるはずだが、生物学的防御の専門家のなかには、感染エリアから有効なデータが小出しにされている状況を批判する向きもある。

「中国の保健当局がウイルスを特定したことは褒めるべきでしょう」と、ミネソタ大学感染症研究・政策センター所長のマイケル・オスターホルムは言う。だが、まだ公表されていない情報はたくさんある。病原体を保有しているかもしれない動物や、この新しいウイルスが将来ヒトに感染する可能性のなかで、その動物が果たす役割について何の情報も知らされていません」

これに対して中国政府は、今回のウイルスに関する情報をソーシャルメディアで拡散した人物を拘束する構えを見せているとも報じられている。

いま最も大切なこと

分子検査で確定した武漢の41の症例の大部分は、何らかのかたちで海鮮市場とつながりがあった。市場では蛇や両生類、その他の珍しい生物も売られていたと噂されている。SARSが最終的にハクビシン(中国の一部で食用として狩猟されている)が感染源であったと特定されたことを考えると、重要な情報だ。

ハクビシンを市場から取り除いた途端に感染が止まり、SARSは突然終わりを告げた。いま最も大切なことは、病原菌を広めている動物を特定し、ほかの場所での感染にも影響するのか確かめることだと、オスターホルムは言う。

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