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省人化で競う回転ずし、くら寿司は「人が接客しない店」を目指す - 日経ビジネス電子版

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 回転ずしチェーン大手のくら寿司は1月22日、インバウンド(訪日外国人)需要を狙うグローバル旗艦店「くら寿司浅草ROX店」(東京・台東)を開いた。「観光」と「食事」を掛け合わせたという「サイトイーティング(Sight Eating)」をコンセプトに、江戸時代を意識した和風デザインの内装を採用し、「射的」や「輪投げ」などの体験スペースも設ける。

1月22日に開業した「くら寿司浅草ROX店」はインバウンド需要を意識している

 敷地面積は約840平方メートルと同社の一般的な店舗の2倍、座席数は272席で同社の店舗としては国内最大だという。平均的な繁盛店の月商約4000万円の1.3倍の売り上げを目指す。

 くら寿司は浅草の旗艦店開業を皮切りに、海外進出を強化する考え。同様の店舗を米国などにも展開する予定だ。将来的には海外売上高比率を50%にすることを目指しており、2030年の売上高は19年10月期(1361億円)の2倍以上となる3000億円、国内外で1000店舗体制を目標とする。

 21日には国内外で別だった企業ロゴを統一することも発表した。田中邦彦社長は「20年を第2の創業と位置づける。いずれは売上高1兆円も夢ではない。世界のレストラン業界を変える野望がある」と強調した。

国内外で統一した新しいロゴを発表する、くら寿司の田中邦彦社長

 浅草の新店では、既存店とは異なる、IT(情報技術)導入による新たな省力・省人化の試みがなされている。目玉は「自動案内」と「自動会計」のシステムだ。自動案内では、来店客が店の入り口に設置されたタッチパネルで入店手続きを済ませれば、空席状況に合わせて自動で座席へと案内する。

 自動会計は回転レーン上部に設置されたカメラと、皿のふたに取り付けられたQRコードを用いて、AI(人工知能)が座席ごとの料金を管理する仕組み。皿の枚数が自動でカウントされるので、これまで人手を要していた皿の枚数確認を無人で処理することが可能になった。

浅草ROX店には、回転レーン上部に設置されたカメラなどで料金を計算する自動会計システムを導入した

 AIが学習する期間を設ける必要があるため、本格的な稼働は3月以降というが、2月から浅草ROX店以外にも導入を進め、今後1年で250店舗に自動会計システムが入る予定だ。田中社長は「入店から会計まで店員と接することのない快適な食事空間を提供できる。今後は予約、注文、会計まで人が介在しないシステムを作り上げるつもりだ」と力を込めた。

 外食業界全体が人手不足と人件費高騰で悩む中でくら寿司の目指す省人化システムは1つの解といえそうだ。

 同様の取り組みはくら寿司以外でも進む。回転ずし大手のスシローグローバルホールディングスも19年6月にリニューアルオープンした「スシロー伊丹荒牧店」(兵庫県伊丹市)で、画像認識を用いて皿の種類と数を計算する自動会計システムを試験導入した。しかし、「不具合が多い」(同社広報担当者)ため現在停止中だ。

 同社の水留浩一社長は19年11月の決算説明会で、「省人化については、洗浄システムなどは順調だが、自動会計などホールでの取り組みがうまくいっていない」と試行錯誤が続いていることを明らかにした。

 くら寿司の自動会計システムはどうか。執行役員広報宣伝IR本部長の岡本浩之氏は「うちには5皿ごとにゲームを楽しむ『ビッくらポン!』のシステムが2000年からあるので、皿の枚数計算については積み重ねた経験がある」と語る。

 人手不足に悩む外食にとって、ITによる省人化は今や不可欠な取り組みとなりつつある。ただし、顧客の満足度を落とさずに効率的な運営を実現するには、経営と現場が一体となった丁寧なつくり込みが欠かせない。

連載「外食ウオーズ」では、日々熾烈な競争が繰り広げられている外食業界の最前線を神田啓晴記者が取材します。連載をフォローして、最新記事をお読みください。

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