レノボ・ジャパンは、メインストリーム向けノートPC「IdeaPad」シリーズのゲーミングモデル新モデルとなる「IdeaPad Gaming 350i」を発表した。コストパフォーマンスに優れるエントリー向けゲーミングノートPCとして位置付けられているが、どの程度の実力を備えているのか確認しつつ、ビジネス利用やテレワーク用PCとしても活用できるかチェックしたいと思う。すでに発売中で、価格は税別116,000円から。
シンプルかつ重厚感のある外観
IdeaPad Gamingシリーズは、既存のIdeaPadをベースにゲーミング向けに仕様を再構成した、エントリ向けのゲーミングノートPCとして位置付けられている。しかし、今回登場したIdeaPad Gaming 350iは、専用設計の筐体を採用するなど、より本格的なゲーミングPCとして設計されている。
専用設計の筐体ということで、既存IdeaPadシリーズにはない外観となっているが、一般的なゲーミングPCと比べるとかなりシンプルなものとなっている。ゲーミングPCらしいと感じる部分は、本体角がわずかに斜めに切り取られているといった点ぐらいで、派手な装飾やイルミネーションなどはまったくない。天板も側面付近に控えめにLenovoロゴが配されているだと非常にシンプルで、本体デザインは一般的なノートPCに近いと言った方がいいだろう。
ただ、本体カラーにオニキスブラックと呼ばれる深みのあるブラックを採用していることで、重厚な印象を強く受ける。比較的明るい色を採用することの多い一般的なノートPCと比べると存在感が強く、エントリー向けとは言っても安っぽさを感じることもない。また、シンプルなデザインと合わせて、ビジネスシーンでの利用でも違和感はほとんどないと言える。
サイズは359×249.6×24.9mm(幅×奥行き×高さ)となる。15.6型液晶搭載ながら左右および上部ベゼル幅が狭められていることで、サイズは15型クラスのノートPCとしても十分コンパクトな部類と言える。重量は公称約2.2kg、実測では2,141gだった。もともとモバイル用途を想定した製品ではないため、この程度の重量でも特に気にはならないだろう。
専用設計採用によりスペックも大きく強化
従来モデルのIdeaPad L340 Gamingでは、既存モデルのIdeaPad L340から光学式ドライブを外し、そこにGPU用のファンやヒートシンクを配置したり大容量バッテリを搭載するなど、内部パーツの再構成が行なわれていた。それに対しIdeaPad Gaming 350iは、先ほど紹介したように専用設計の筐体を採用するとともに、内部の仕様も専用設計で強化されている。
まず、CPUやGPUの冷却システムには、既存モデルよりも大型のファンを採用するなど冷却性能を高めた専用設計の冷却システムを採用。また、メインメモリは従来モデルではオンボード+メモリスロット×1の仕様となっていたのに対し、IdeaPad Gaming 350iではメモリスロット×2とすることで、柔軟なメモリ構成を実現可能となっている。このほかにも、販売モデルで2基のSSDを搭載するモデルは用意されないものの、内部にはSSD用のM.2スロットを2本用意し、SSDを2台搭載することも可能となっている。
従来モデルは、既存製品をベースとすることでコストダウンを実現していたわけだが、IdeaPad Gaming 350iではコストダウンを行ないつつ、さまざまな部分で専用設計を取り入れることによって、ゲーミングPCとしての魅力が大きく高められている。
スペックはモデルによって異なっており、搭載CPUはCore i5-10300HまたはCore i7-10750Hで、メモリはDDR4-2933を8GBまたは16GB搭載。ディスクリートGPUはGeForce GTX 1650またはGeForce GTX 1650Tiを採用。内蔵ストレージは256GBのNVMe/PCIe SSDと1TBのHDDを同時搭載となっている。エントリー向けゲーミングノートPCとして、必要十分のスペックを搭載していると言える。
120Hz駆動対応の15.6型フルHD液晶を搭載
ディスプレイは、1,920×1,080ドット表示対応の15.6型液晶を採用している。パネルの種類はIPSで、十分な広視野角を確保している。ディスプレイ表面は非光沢処理となっているため、外光の映り込みはほとんど感じられず、ゲーム映像に集中できるのはもちろん、ビジネス用途で文字入力を行なう場合でも快適性が損なわれることはない。
また、リフレッシュレート最大120Hzに対応。NVIDIA G-Syncなどのリフレッシュレート同期技術への対応はないものの、高リフレッシュレート表示によってゲーム映像も滑らかな表示が可能となっている。
ディスプレイの仕様として広色域表示やHDR表示への対応についての言及はなく、発色の鮮やかさやコントラスト比などは上位のゲーミングノートPCに搭載されるディスプレイにやや劣るという印象だ。とはいえ十分に鮮やかな発色が確認できるので、それほど不満を感じることはない。基本的には、エントリー向けゲーミングノートPCとして標準的な表示品質を備えていると考えていいだろう。
USB接続のゲーミングマウスを標準添付
従来モデルでは、既存IdeaPadシリーズのキーボードをほぼそのまま流用していたが、IdeaPad Gaming 350iのキーボードは、新たにゲーミング向けにチューニングしたキーボードとなっている。
キーピッチは約19mmフルピッチで、キーストロークは約1.5mm。打鍵感は、軽すぎず固すぎずといった感じだが、クリック感がやや強めという印象で、力強くタイピングできると感じる。キートップにわずかな凹みを施すことで、指への馴染みも良く、軽快なタイピングが可能だ。また、キーピッチはやや狭いものの、テンキーも搭載している。キーボードバックライトも搭載するが、ブルー1色となっている。
キー配列は、英語配列のキーボードをベースに日本語化しているため、Enterキー付近やスペースキー左右の一部キーは、英語配列のキーから一部を切り抜くかたちで実装している。この点は少々残念な気もするが、その多くがゲームプレイ中に利用するキーではないため、ゲームプレイを中心に考えるならそれほど気にはならないだろう。ただ、ビジネス用途で利用する場合には、この部分が気になるかもしれない。
このほか、Nキーロールオーバーや100%アンチゴーストといったゲーミングPCのキーボードに必須の仕様をサポートするとともに、耐久性に優れるスイッチの採用、フルサイズのカーソルキーの搭載、通常のホームポジションを示すFとJキーだけでなく、ゲームのホームポジションを示すようにSキーにも突起を用意するなど、ゲームプレイを意識した仕様も随所に見られる。
ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載している。タッチパッドとしての仕様は、ジェスチャー操作にも対応するなど標準的なものとなっている。ただ、ゲームプレイ中にはタッチパッドの利用はほぼないことから、パームレストを含めて凹凸がほとんどない“ワンピーストラックパッド”とすることで、極力邪魔にならないように配慮されている。
加えてIdeaPad Gaming 350iには、標準でゲーミングマウス「M100」が同梱となる。7ボタン仕様(左、ホイール/中央、左、サイド×2、DPI設定用×2)、DPIは800~3,200のあいだで変更可能、ボタンは1,000万回の耐久性を確保している。また、ゲーミングマウスらしくホイール部とロゴそれぞれに7色のLEDイルミネーション機能も搭載している。マウス自体の重量は90gで、ケーブルにはしなやかなPVC素材を採用しているので、軽快なマウス操作が可能だ。
M100自体はエントリークラスのゲーミングマウスではあるが、本体同梱という部分が大きなポイントだ。ゲームプレイにゲーミングマウスは必須だが、ゲーム初心者にはどのゲームマウスを購入すればいいかよくわからないのも事実で、まずは同梱のM100を利用しつつ、上達したらより高性能なゲーミングマウスに移行できるという意味で、嬉しい特徴だ。
ポート類は左側面に集約し、右にはマウス用のUSBポートのみを配置
側面のポート類は、基本的には本体左側面に集約しており、右側面にはUSB 3.0を1ポートのみ配置している。これは、本体右側でマウスを利用することを想定し、マウス操作が極力損なわれないように配慮してのものとのこと。右側面にマウス以外のケーブルが接続されていると、マウス操作の邪魔になることも多々あるため、このあたりはゲーミング向けらしい特徴と言える。
なお、左側面には電源コネクタ、Gigabit Ethernet、HDMI、USB 3.0、USB 3.1 Gen1準拠USB Type-C、オーディオジャックを配置している。右側面のUSB 3.0と合わせ、ポート類は必要十分だろう。
無線機能は、IEEE 802.11a/b/g/bn/ac/ax準拠無線LAN(Wi-Fi 6)とBluetooth 5.0を標準搭載。ゲームプレイでは有線LANの利用が基本となるが、Wi-Fi 6対応のため無線LANでのゲームプレイも十分視野に入れて良さそうだ。
このほか、ディスプレイ上部には720p対応のWebカメラを搭載する。ゲームプレイ動画の配信などでの利用はもちろん、テレワークでのオンラインミーティングなどにも活用できる。また、このWebカメラにはプライバシーシャッターも搭載しているので、不要な時はシャッターを閉じることでプライバシーも保てるのは嬉しい。
ただ、機能面で残念なのは、顔認証や指紋認証などの生体認証機能を搭載しない点だ。できれば指紋認証センサーぐらいは搭載してもらいたかったように思う。
付属ACアダプタは、出力135Wのやや大型のものとなっている。付属電源ケーブル込みの重量も実測で585gと重いが、IdeaPad Gaming 350iはモバイル向けではないため、ACアダプタのサイズや重量が問題となることはないだろう。
エントリークラスのゲーミングノートPCとして納得の性能、テレワークも快適
では、ベンチマークテストの結果を紹介しよう。今回利用したベンチマークソフトは、UL LLCの「PCMark 10 v2.1.2177」、「3DMark Professional Edition v2.11.6911」、Maxonの「CINEBENCH R20.060」、スクウェア・エニックスの「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」の4種類だ。
また、IdeaPad Gaming 350iでは、専用ツール「Lenovo Vantage」に用意されている「サーマル・モード設定」を利用して空冷ファンやCPU、ディスクリートGPUの動作をカスタマイズできるようになっているが、ベンチマークテストは最高の性能を発揮する「パフォーマンス・モード」に設定して行なっている。
IdeaPad Gaming 350i 81Y40054JP | |
---|---|
CPU | Core i7-10750H(2.80/5.00GHz) |
チップセット | ― |
ビデオチップ | GeForce GTX 1650Ti |
メモリ | DDR4-2933 SDRAM 16GB |
ストレージ | 256GB SSD(NVMe/PCIe)+1TB HDD |
OS | Windows 10 Home 64bit |
PCMark 10 | v2.1.2177 |
PCMark 10 Score | 4947 |
Essentials | 9808 |
App Start-up Score | 13314 |
Video Conferencing Score | 8335 |
Web Browsing Score | 8503 |
Productivity | 7628 |
Spreadsheets Score | 9525 |
Writing Score | 6110 |
Digital Content Creation | 4392 |
Photo Editing Score | 7636 |
Rendering and Visualization Score | 2807 |
Video Editting Score | 3866 |
CINEBENCH R20.060 | |
CPU | 2854 |
CPU (Single Core) | 477 |
3DMark Professional Edition | v2.11.6911 |
Night Raid | 29400 |
Graphics Score | 44604 |
CPU Score | 10029 |
Sky Diver | 27269 |
Graphics Score | 32896 |
Physics Score | 14961 |
Combined score | 26001 |
Time Spy | 3887 |
Graphics Score | 3622 |
CPU Score | 6650 |
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク | |
高品質 1,920×1,080ドット フルスクリーン | 4131 |
結果を見ると、エントリー向けゲーミングノートPCとして納得のスコアが得られていることがわかる。上位のゲーミングPCにはさすがに敵わないものの、内蔵ディスプレイのフルHD表示でゲームをプレイするのであれば必要十分の性能と言える。最新ゲームで表示設定を高めた場合には、フルHD環境でもやや厳しい場面が出てくる可能性はあるが、表示設定を落とせば問題なくプレイ可能で、IdeaPad Gaming 350iがターゲットとするエントリーゲーマーであれば性能面で不満を感じる場面は少ないと言っていいだろう。
ベンチマークテスト時のファンの動作音は、やや大きいという印象だ。ファン自体の動作音と排気口からの風切り音が合わさり、かなり大きく耳に届く。高負荷が続く場面では、一般的なノートPCよりもうるさいと感じるだろう。ただ、それでもゲーミングPCの中では比較的静かな部類で、爆音と表現されるようなものではないため、不安に感じることはないだろう。
続いてバッテリ駆動時間だ。IdeaPad Gaming 350iはモバイル向けではないが、念のため計測してみた。公称の駆動時間は約8.8時間(JEITAバッテリー動作時間測定法 Ver2.0での数字)とされている。それに対し、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%、キーボードバックライトをオフ、Lenovo Vantageのサーマル・モード設定を「バランス・モード」、無線LANを有効にした状態で、PCMark 10のBatteryテスト「PCMark 10 Battery Profile」の「Modern Office」を利用して計測したところ、4時間17分の駆動を確認した。
公称の半分ほどではあるが、自宅内などで持ち運んで使う程度であればとくに問題はないだろう。ただし、ゲームのように長時間高負荷が続くアプリを利用する場合には駆動時間がかなり短くなると思われるので注意したい。
ビジネスシーンでも静かに稼働可能
ところで今回は、IdeaPad Gaming 350iをビジネス用途でどの程度活用できるかもチェックしてみた。具体的には、Office系のアプリや、オンラインミーティングなどを利用してみた。
もともとの性能が高いため、当然ながらOffice系のアプリは非常に快適に利用できる。アプリの起動はもちろん、利用時も非常に快適で、動作の不満は一切感じなかった。
また、ZoomとMicrosoft Teamsを利用したオンラインミーティングも試してみたが、こちらも快適だった。ZoomやMicrosoft Teamsのオンラインミーティングは思った以上にCPUへの負荷が大きく、Core i7-10710U搭載のモバイルノートPCでは盛大に空冷ファンが動作してややうるさいと感じる場面がある。
しかしIdeaPad Gaming 350iでは、もともとのCPUの処理能力の高さもあるが、ゲーミング向けに特化した高性能な冷却システムによって、オンラインミーティング中も空冷ファンが盛大に動作することがなく、つねに静かな状態で利用できた。
もちろん、クリエイター向けの高負荷なアプリを利用したり、動画のエンコードなどを行なう場合でも、高性能CPUやディスクリートGPUによって軽快な作用が行なえるだろう。
ビジネス用途で利用することを考えると、生体認証機能をはじめとしたセキュリティ機能も欲しいところだが、シンプルなデザイン面も合わせて、十分にビジネス用途にも対応できると言っていいだろう。
コストパフォーマンスに優れるゲーミングPCが欲しい人だけでなく、性能重視のテレワーク用PCを探している人にもお勧め
IdeaPad Gaming 350iは、さまざまな部分で専用設計を採用することによって、従来モデルと比べてゲーミングPCとしての魅力が大きく高まっている。エントリー向けに位置付けられているものの、CPUやディスクリートGPUは十分に満足できる仕様となっているので、性能面での不安も少ない。標準でゲーミングマウスが付属するという点も、ゲーム初心者にとってありがたい点だ。
また、全体的にシンプルなデザインで、派手な装飾やイルミネーションもないため、ゲーミング用途だけでなく高性能なビジネスPCとしての利用も十分ターゲットに入る。そもそもビジネス用途を想定していないこともあって、セキュリティ機能などはやや心許ないものの、使い方を誤らなければ不満なく活用できるはずだ。
手ごろに購入できる価格と合わせて、これからPCゲームを始めたいと考えている人はもちろん、仕事やテレワークで利用する高性能なPCを探している人にお勧めしたい。
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June 05, 2020 at 07:50AM
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