世界で最も人口の多い民主主義国家であるインドは、2018、19年ともに、ネット遮断措置の回数が世界でも群を抜いている。
当局によるデジタル弾圧の一般的な手法であるインターネット遮断は、非民主主義の国での出来事だと思う人は多いだろう。でも、政治権力のチェックアンドバランスを欠けば、民主主義国家は「デジタル独裁国家」に充分になりうる。世界で最も人口の多い民主主義国家であるインドが、州単位でのネット遮断を通じて、それを証明している。
インターネットを遮断することはデジタル弾圧の一般的な手段になりつつある。豊かでリベラルな民主主義国家の人々の多くには、想像すらできないだろう──大規模な集会や抗議運動や社会不安を受けて、政府がソーシャルメディアやメッセージアプリ「WhatsApp」のようなサーヴィスを利用できなくしたり、インターネットアクセスを全面的に遮断したりしているのだ。
そのような措置は、これまでにエジプトやジンバブエ、イラクなど多くの非民主主義国家で行なわれている。各国の事例を調査したところ、あるパターンが浮かび上がってきた。市民が路上に集まると、レジスタンスを抑え込みたい政府が、混乱に歯止めをかけることを口実にインターネットを遮断するのだ。その基底にあるのが、そもそも当局に通信の遮断を可能にさせるほど、政治権力のチェックアンドバランス(抑制と均衡)の機能が脆弱である、または欠如しているという事実だ。
一方で世界最大の人口を抱える民主主義国のインドが、アッサム州(人口約3,100万人)でインターネット通信の遮断を実行した。これは、大きな論争を巻き起こしながらも19年末に可決した改正市民権法に対する民衆の抗議運動を受けた措置で、その後メガラヤ州、トリプラ州、西ベンガル州、ウッタルプラデシュ州などでも同様にネットサーヴィスが停止された。インドは2018年も19年も国家によるインターネット遮断の回数が世界で最も多かった。そのことから、ネットの弾圧が独裁国家の十八番とは限らないことは明らかだ。
州ごとになされるデジタル弾圧
サイバースペースが「ボーダレス」と言われて久しいこととは裏腹に、国家はインターネットを完全にコントロールすることができる。「サイバースペース」や「デジタル領域」と聞くと、空中(またはクラウド内)に浮かんだ仮想空間のようなものをイメージするかもしれない。けれども、実はインターネットはいまでも海中ケーブル、サーヴァーファーム、エンドポイントにあるデヴァイス──どれもみな物理的なモノ──でできているのだ。これをコントロールするのはなまやさしいことではない。実際に行なうとなれば、政府はきわめて高度な技術設備を構築するか、購入する必要があるだろう。それでも、可能なことは確かだ。
これまでにインドのさまざまな地方政府が州内のインターネットの一部をコントロールし、ネット遮断を実行してきた。インドでは暴動とデマが大きな影響力をもつうえに、双方が絡み合って厄介な状況を招いている──WhatsAppによってデマが拡散し、暴力行為につながるケースが頻発したのだ。例えば、19年9月に裁判所は、自由な情報アクセスの阻害は憂慮されるものの、国家の安全保障に懸念があればインド当局にインターネット接続の遮断を認める可能性があるという決定を下している。
『WIRED』US版の記事にもあるように、「不寛容、緩い取り締まり、カーストによる分断、国粋主義者の美辞麗句など、暴力行為を幾度となくあおってきた根底的な問題に充分対処できていない」責任を都合よく押しつけるかごとく、インド政府はワッツアップ に対し、特定のメッセージを追跡して拡散を防止するよう求めた。ワッツアップがその要求を拒否したため、各州政府はインターネット遮断に打って出た。
とはいえ、ネットワークの遮断が誤った情報の拡散を止めるのに本当に有効かどうかは不透明で、問題に関するさらなる調査が必要だ。州内のインターネットを監視するのに理想的な機能がないことから、デマにあおられて暴動が発生している現状を踏まえて、各州政府はとにかく何らかの策(すなわちウェブサーヴィスの停止)を実行したいと思うのだろう。場合によってはもっともな動機と言えるのかもしれない。
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April 27, 2020 at 05:00AM
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