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新型コロナ対策で露呈 「社員から確実に見放される企業」とは? - ITmedia

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、企業における非常事態への対処能力の違いが露(あら)わになっている。労働者の側からすれば、どの企業に勤務しているかで、自身の安全に大きな差が生じることを意味している。今回の感染拡大では非正規社員などを中心に仕事を失う人が続出しているが、終息した後、一連の事態に対してしっかり対処できなかった企業は、逆に労働者から見放されていくだろう。

photo 新型コロナを機に「従業員から見放される企業」が露呈する(写真はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

危機で問われる組織の本質

 企業におけるリーダーシップや組織対応能力というのは、何もない平時の時には、その違いが見えにくい。だが、今回のような非常事態が発生すると、トップの胆(たん)力や決断力、組織の対応能力の違いが歴然となる。

 緊急時には事態が刻々と変わり、情報も錯綜するので、政府や自治体の指示を待っていては、ほぼ確実に手遅れになる。特に日本の場合、政府の危機管理能力が著しく低いので、企業が自己防衛しなければ組織は守れない。このため組織のリーダーには、問題の本質を見極め、100%でなくてもよいので対処方法を即座に考えて実行に移すという知恵や行動力が求められる。

 では、リーダーシップというのは、具体的にどのようなことを指すのだろうか。

 新型コロナウイルスの詳細な感染経路はまだ明らかになっていない。だが、一般的なインフルエンザに近いウイルスであることは分かっているので、感染防止の対策は、従来型インフルエンザに準じたものにすればよいという結論が得られる。これはいわゆる演繹的な思考法ということになるだろう。

 一般的なインフルエンザの主要な感染経路は、飛沫感染と接触感染である。それ以外のルートもあるが、状況が不明瞭な段階でそれを議論してもあまり意味は無い。両者を回避するためには、人混みを避け、できるだけ人との直接接触(エレベーターのボタンや書類の直接的な受け渡しなどを含む)を避ければよいという結論になる。

GMOインターネットの決断力

 IT大手のGMOインターネットは、国内での感染がそれほど騒がれていなかった1月27日の段階で、すでに国内従業員の約9割にあたる4000人を在宅勤務に切り替えている。どうしても出社が必要なケースに備え、社内に消毒液を配置したり、除菌(厳密にはウイルス除去)がしやすいようエレベーターのボタンにビニールシートを貼った上で、指の第二関節でボタンを押すよう指導するなど非常に現実的、かつ効果的だった。

photo いち早く在宅勤務を導入したGMOインターネット(同社の公式サイトより引用)

 こうした迅速な行動ができたのは、創業社長である熊谷正寿氏の能力によるところが大きいが、非常時に備え、日頃から組織全体で在宅勤務の訓練を実施してきたことも大きい。こうした実績が明らかになった今、これから就職する若者にとっては、同社のような企業は魅力的に映るだろう。

 外食や小売りなど、業種や職種によっては、社員が出社しなければならないケースも多い。こうした場合でも、可能な限りシフトを調整し、満員電車を避ける工夫を実施できる企業とそうでない企業とでは、当然、社員の感染リスクは変わってくる。

差がつく「マスク着用の有無」

 また、社員のマスク着用や打ち合わせの実施についても企業の差が大きく出ているようだ。

 飲食店や小売店を見回して見ると、全員がマスクをしている店舗とバラバラな店舗、全員がマスクをしていない店舗に分かれている。これは企業の方針や組織の体制による違いと考えられる。

 マスクを着用する最大の目的は、もし自身が感染していた場合、同僚や顧客にそれをうつさないためである。だが、近くに感染者がいる場合には、当然のことながら自身の感染リスクを下げることができるし、一般的な感染防止という観点においても、しないよりはした方がよいのは明らかである。ウイルスはマスクの繊維を通り抜けるので効果が無いとの指摘もあるが、それはあまりにも教科書的過ぎる解釈である。

 人の口などから出たウイルスを含む飛沫(飛沫なのでサイズは大きい)は、空気中で乾燥し、最終的にはウイルス単体になる。確かにここまで小さくなれば、マスクで感染を防ぐことは不可能だろう。だが現実には、一部のウイルスは空気中のチリや汚染物質などに付着して、もう少し大きなサイズで漂っている。

 一般的な経験則として、風邪が流行っている時に、マスクをしないで大掃除をすると風邪をひきやすいというのは、多くの人が理解しているはずである。過度にマスクにこだわるのは考えものだが、少なくとも接客に関係する業界で、マスク着用を全面的に禁止するというのは、労働者にとってリスクが高いはずだ。

「来社強要」の愚かさ

 一部の企業では、首都圏での感染爆発が懸念されているこの時期においても、打ち合わせのため遠方からの来社を事実上、強要しているともいわれる。取引先との力関係上、断れない企業も多いようだが、こうした行為を続けていると、確実に感染を拡大させてしまう。

 むやみに取引先を呼びつける企業や、こうした顧客に対してきっぱりと面会延期を申し出られない企業は、労働者からするとリスクの高い勤務先ということになるだろう。

 今回の問題はウイルスによる感染症なので、どこかのタイミングで終息を迎え、その後、社会は定常運転に戻ることになる。だが各企業の振る舞いは、その企業の実績として後々まで残ることになる。

会社選びの基準、激変?

 日本経済はこの先、長期的な低迷が予測されており、日本国内で仕事をしている限り、賃金が順調に上がっていくというシナリオは描きにくい。そうなってくると労働者側は、企業に対して賃金以外の面でどのようなメリットがあるのか、強く問いかけるようになるだろう。

 以前もこのコラムで指摘したが、ウイルス対策と働き方改革というのはセットであり、ウイルス対策をしっかり実施できる組織というのは、働き方改革にも積極的である。感染終息後の社会では、こうした観点で企業を選ぶビジネスパーソンが増えてくるに違いない。

 当然のことながら企業にとっては逆のことが言える。高い賃金を支払えない以上、危機管理などの面で十分な魅力を提示できない企業は、優秀な人材が集まらないことになる。今回のコロナウイルスの感染拡大は、普段は見えていなかった組織の「底力」の違いを可視化する結果となるだろう。

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