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手話で会話、こぼれる笑顔 和歌山初 聴覚障害者向け高齢者施設 - 産経ニュース

 耳の不自由な人向けの高齢者施設として、和歌山県内で初めて平成30年11月にオープンした住宅型有料老人ホーム「きのくにの手」(和歌山市加納)。聴覚障害のある高齢者用の施設は全国でも十数カ所しかないとされ、施設関係者らが視察に訪れるなど注目されている。手話以外にコミュニケーションがとれない聴覚障害者は、一般的な高齢者施設では他の入所者と会話ができず孤立しがち。運営する県聴覚障害者協会は「ろうあの人が最期まで安心して暮らせる施設が少しでも増えれば」と訴える。

 「ここでは、手話を通じて笑顔が生まれるんです」。自身も聴覚障害のある施設長の桜井貴浩さん(46)は手話でそう語った。

 きのくにの手には、一般の高齢者施設から移ってきた人も多い。70代の男性は、以前の施設では「風呂はいや」と言って身だしなみも気にしなかった。

 しかし今は、他の入所者から「きれいにしないといけないよ」と手話で諭され、身なりを整えるように。「コミュニケーションがとれるようになって、自分の存在を認めてくれていると感じたのでしょう」と桜井さんは見守る。

 ときに、入所者同士で口論になることもあるが、「それが大切。喜怒哀楽が豊かになることが生きているということなんです」

■夢で終わらせない

 施設ができるまでの道のりは長かった。県聴覚障害者協会のメンバーらは以前から月に1~2度、県内の一般的な高齢者施設を訪ね、耳の聞こえない入所者の話し相手になっていた。

 しかし、入所者の表情が乏しくなっていることに気づいた。他の入所者とコミュニケーションがとれないからだった。「手話は、手の動きだけではなく表情によっても意思を伝える。なのに、その表情がなくなっている」とメンバーらは危機感を募らせた。

 聴覚障害の人が心地よく過ごし、最期を迎えられる施設があれば-。20年以上前からの同協会の願いだった。「でも夢だね」。資金面の問題が大きかった。

 諦めかけていたところ、平成26年に土地を提供してくれる人が現れ、建設費3億円を目標に翌年から募金を始めた。多額の寄付を申し出る人もあって1億円を突破、建設に踏み切った。現在も応援資金を募っているが、費用や融資の面では業者や地元の紀陽銀行も協力してくれた。

■非常時は光と振動で

 現在は60代~90代の27人が入居し、そのうち聴覚・視覚両方に障害のある人は3人。待機者は7人いる。

 スタッフは、同協会が運営する訪問介護やデイサービスと合わせて約30人。そのうち10人が聴覚障害者だ。同じ悩みを持ち、利用者も安心できるようにというのが理由だ。スーパーへの買い物も必要に応じてスタッフが付き添っている。

 施設内の設備も、耳が聞こえなくても生活できるようきめ細かく配慮した。和歌山は台風や南海トラフ地震などが懸念されるだけに、災害時には光が点滅する報知機を設置。火災の際も非常ベルでは聞こえないため、各部屋に振動で知らせるバイブ式の報知機を用意し、枕元に置いて夜でも分かるようにした。

 廊下の角などには広範囲まで見える、道路のカーブミラーのような特殊な鏡を設け、死角を最小限にした。入所者が廊下の向こうで倒れても、ミラーですぐ確認できる。

 「県内で初めてだけに、設備一つ一つもすべて手探り」と桜井さん。今後について「手話も介護もできる職員が必要だし、こうした施設が各地に増えるよう情報発信にも力を入れたい」と意欲をみせた。

■きのくにの手 定員27人で、個室が23室、2人部屋2室。入居時に敷金10万円。賃料は5万9千円~、管理・光熱費1万5千円(いずれも個室、1カ月分)。食費3万6千円(3食、30日分)など。スタッフは日中は4~5人、夜間は2人ほどで対応。問い合わせは(073・474・0021、FAX073・474・0020)。

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February 13, 2020 at 06:40PM
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